映画『怪物』は、ある事件を巡る3人の視点から展開される物語。真実とは何か?そして、“怪物”の正体とは?誰もが“怪物”になり得る衝撃的な結末へ。
『怪物』とはどんな映画?
作品の紹介とあらすじ
項目 | 内容 |
---|---|
公開日 | 2023年6月2日 |
監督 | 是枝裕和 |
脚本 | 坂元裕二 |
大きな湖のある郊外の町で、シングルマザーの早織(安藤サクラ)は、息子・湊(黒川想矢)と二人暮らしをしています。ある日、湊は同級生の依里(柊木陽太)と喧嘩になり、依里は怪我をしてしまう。学校やメディアは騒ぎ立て、早織は息子を守ろうと奮闘します。
しかし、事件の真相は複雑で、誰もが「怪物」になり得る可能性を秘めていることが明らかになっていきます。真実とは何か、正義とは何か。現代社会の闇をえぐる衝撃的な作品です。
映画「怪物」を観て、あなたも「怪物」とは何かを考えてみてはいかがでしょうか?
キャスト(登場人物)
映画『怪物』の主な出演者はこちらになります。
役名 | 俳優 |
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麦野早織 | 安藤サクラ |
保利道敏 | 永山瑛太 |
麦野湊 | 黒川想矢 |
星川依里 | 柊木陽太 |
鈴村広奈 | 高畑充希 |
正田文昭 | 角田晃広 |
星川清高 | 中村獅童 |
伏見真木子 | 田中裕子 |
映画『怪物』見えてくる3つの視点
早織の視点
【疑惑の始まり】息子が語る担任の暴力
シングルマザーとして息子・湊を育てる早織にとって、彼はかけがえのない存在。しかし、ある日、湊が担任の保利先生から暴力を受けたと言い出したことで、彼女の平穏な生活は一変します。
【真実への執着】学校側の対応に怒り
息子を守るため、早織は学校側に真相を追求します。しかし、学校側は事なかれ主義の対応で、真相究明に及び腰。息子を守るために戦う母親の必死な訴えは、虚しく空を切るのです。
【怪物への変貌】マスコミを巻き込み、追い詰められる学校
真実が闇に葬られることに憤りを感じた早織は、マスコミを巻き込み、学校側を追い詰めることを決意します。愛する息子を守るためなら、手段を選ばない。その姿は、まるで怪物のように狂気に染まっていました。
【真実と正義の狭間で】母親の葛藤
真実を追求すれば、息子は傷つき、さらなる攻撃を受けるかもしれない。真実を隠蔽すれば、加害者は野放しになり、正義は歪められる。愛する息子と社会の正義の間で、早織は葛藤し、苦悩します。
【怪物と呼ばれても】母の愛は止まらない
周囲からはモンスターペアレントと罵られ、怪物と呼ばれても、早織は息子を守るために戦い続けます。真実と正義、そして母親としての愛情。その狭間で、彼女は苦悩しながらも、前へと進んでいくのです。
保利の視点
【疑惑の始まり】少年の秘密と教師の正義感
新任教師として希望に燃えていた保利。しかし、ある日、彼が目にしたのは、児童・湊による同級生・依里へのいじめでした。正義感の強い保利は、学校側に状況を報告しますが、そこから彼の悪夢が始まります。
【理不尽な攻撃】モンスターペアレントのレッテル
湊の母親・早織は、保利の報告を信じようとせず、モンスターペアレントとして彼を激しく攻撃。真実を伝えようとする保利の声はかき消され、彼の心は深い傷を負います。
【真実への執着】誤植に潜む正義への希望
追い詰められながらも、保利は真実を追求しようとします。週刊誌の誤植を指摘するなど、細部へのこだわりは、真実への強い執着の表れであり、彼の正義感の証です。
【怪物と呼ばれても】真実を求める孤独な戦い
周囲からは理解されず、怪物と呼ばれながらも、保利は真実を求めて戦い続けます。彼の孤独な戦いは、社会の偏見や固定観念と戦う全ての人にとっての希望の光となるのです。
【真実の光は闇を照らす】保利の葛藤と希望
真実と正義、そして社会の偏見。保利は葛藤しながらも、真実の光を信じ、前に進んでいきます。彼の戦いは、私たちに大切な問いを投げかけます。
湊の視点
【孤独な少年】秘密基地で芽生える友情
小学生の湊にとって、学校生活は息苦しい場所でした。周囲からの理解を得られず、孤独を抱えていた彼は、同級生の依里と秘密基地を作ります。秘密基地は、彼にとって唯一の心の拠り所であり、依里との友情は、彼の心を温めてくれました。
【壊れかけた世界】父親による虐待の影
しかし、その平和な日常は突然壊されます。湊は、依里が父親から虐待されていることを知ります。親しい友人が苦しんでいる姿を見るのは、湊にとって耐え難いことでした。
【真実の重荷】罪悪感と葛藤
事件の真相を理解できず、湊は深い苦悩に沈みます。自分が何もできなかったことへの罪悪感、周囲の大人への不信感、そして未来への不安。様々な感情が彼の心を押しつぶし、彼は怪物のように壊れていくのです。
【希望の光】それでも前に進む
周囲からは理解されず、怪物と呼ばれても、湊は希望を捨てません。彼は真実と向き合い、自分なりの答えを見つけようとします。彼の苦悩と葛藤は、私たちに大切な問いを投げかけます。
湊と依里(二人の純粋な愛と社会の壁)
芽生える愛情、心を照らす光
湊と依里、二人の出会いは運命だったのか互いに惹かれ合い、心を許し合う中で、純粋な愛情が芽生えていきます。湊にとって依里は、未知の世界を教えてくれる存在であり、依里にとって湊は、唯一自分を肯定してくれるかけがえのない存在だでした。
無意識の壁、二人を縛る鎖
しかし、二人の愛は周囲の無意識なジェンダー観やセクシュアリティの押し付けによって、徐々に影を落としていきます。早織は湊に結婚と家庭を持つことを望み、保利は「男らしさ」を押し付けます。親、先生、テレビ、社会全体が押し付ける「普通」という名の壁が、二人を苦しめ、追い詰めていきます。
追い詰められた心、悲劇への序章
「湊の脳は豚の脳なんだ!」
早織への怒りの言葉は、湊の深い絶望と苦悩を象徴しています。社会の無意識の加害性が、二人の心を深く傷つけ、愛を壊してしまいます。
光と影、愛と苦悩の物語
湊と依里の物語は、純粋な愛と社会の壁が織りなす、光と影のコントラストが美しい作品です。二人の苦悩と葛藤は、私たちに大切な問いかけを投げかけてくれます。
怪物の正体って何だったの?
観客を“怪物探し”へと誘う
全編を通して不穏な空気が漂い、観客は誰が何を考えているのかわからない焦燥感に駆られます。ストーリーを追いかけ“怪物探し”をする観客は、簡単には提示されない答えに頭を悩ませます。誰かを悪者として見た方が、理解しやすいからです。
“怪物”は誰の中にもいる
この作品は、自分の見た物が全てではないこと、何気ない言動が人を追い詰めることを示唆します。そして、誰しもが“怪物”になり得ることを私たちに問いかけます。
衝撃の結末、それぞれの解釈とは?
3つの視点
【早織と保利の視点】子供たちを探して鉄道跡地に辿り着き、秘密基地の車両を覗くが、そこに子供たちの姿はありませんでした。
【湊の視点】 鉄道跡地のトンネルを抜けて、青空の下、トンネルに続く草むらへと辿り着きます。泥だらけの二人が、青々とした草むらに笑顔で駆け出すカットは、温度や匂いまで感じられるほどリアルで美しい。
【依里の視点】湊と手を繋ぎ、光の中へと歩き出す。
・二人は周囲からの圧力から逃れ、自分たちの世界で自由に生きることを選んだのか?
・二人は死んでしまったのか?
・二人は生まれ変わったのか?
見る方たちに問いかける結末は、観客に様々な解釈を促します。
・社会の偏見や差別から逃れ、自分たちの居場所を見つける
・死という形で苦しみから解放される
・新たな世界で生まれ変わり、自由に生きられる
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